私が放送大学の門をくぐったのは55歳のとき。
学生時代の卒業論文を後日読んでみて、あまりにもひどいと思い、リベンジの意味でやり直したくなったから・・・
そのため 放送大学では、論文作成にかなりの時間と労力をかけました。
内容はともかく、自分でも驚くくらい しつこく取り組みました。
総額で60万円もかけて取り組んだので、なおのこと力が入ったのですが・・・
ただ、運悪く その頃から仕事がけっこう忙しくなってしまいました。
そのため、限られた時間を少しでも効率的に使うために、さまざまな工夫もしてみました。
というより、せざるを得ない状況になりました。
今回は修士論文を作成したときの状況を お知らせします。
これから放送大学などへの入学を考えている方の 参考になればと思います。
目 次
- 卒業論文のリベンジのため、テーマは同じジャンル。仮説を考える時間だけは十分に取りました!
- 資料収集と保存には、購入したA3スキャナーが大活躍!
- 執筆はスマホの音声入力を使って、すっかり手抜き?しました!
- 原稿の修正は、通勤電車の中で スマホでやりました!
- 原稿の推敲は自宅のパソコンで、前後の流れを確認しながらとっても真剣に!
- まとめ
卒業論文のリベンジのため、テーマは同じジャンル。仮説を考える時間だけは十分に取りました!
論文を作成するにあたって、まず ひとりよがりの進め方にならないように注意しました。
論文作成にはルールがちゃんとありますので、基本的な進め方を改めて学習し直しました。
その方法としては、公立図書館のホームページで「論文の書き方」などで検索すると何冊かヒットします。
私は6冊に目を通して、そのうち一番ピンときたものを中心に、進行状況に応じてときどき参照しました。
以下、私が修士論文を作成した流れは だいたい次のとおりです。
①まずテーマを考えました
テーマは最初から決めていました。大学の卒論と同じジャンルのテーマです。
学部の論文を後年 読み返してみて、あまりにもお粗末な内容だったので、放送大学に入学したらそうしようと決めていました。
私が所属した人文学ゼミでは、これまでに深い関心があった歴史的事実について、学術的観点から取り組む人が多かったように思います。
たとえば、「20世紀フランスにおける○○人迫害に関する実態の今日的課題」、「支配国と被支配国における食糧経済史の異同と意義」のような感じ。
②仮説は十分な時間をかけて考え抜きました
次に、取り組むテーマについて、何を明らかにしたいのかを十分に考えてみました。
テーマに沿って大見出し・中見出し・小見出を考え、重要点を書き出して整理・・・
そして、それぞれの重要点ごとに、なぜそのような現象が現れているのかについて、仮説を立てました。
仮説について考えるのはもっぱら土日。
平日は仕事でバタバタするため、落ち着いて物事を考える時間が確保できませんので・・・
仮説は半ば瞑想するような感じで、時間をかけてじっくり考えました。
その結果、なかなかいい考えかもしれないという結論に達すれば、その内容を忘れないうちにスマホに音声入力でメモしました。
③大見出し・中見出し・小見出しをけっこう綿密につくりました
仮説を考える作業は、大見出し・中見出し・小見出しごとに・・・
それぞれの仮説を考えて文字にした後に、それぞれについて5回ほどしつこく見直しました。
とはいえ、考え出すとキリがないので、このあたりでいったん終了に。
ここで考えた仮説は、その後 関係資料を読み進めていくうちに、けっこう見直すことになりましたが・・・
資料収集と保存には、購入したA3スキャナーが大活躍!
①資料収集は図書館とCiNii(サイニー)を中心に行いました
仮説をいったん決めた後は、それがきちんと裏づけられるかを1つずつ確認。
それぞれの大見出し・中見出し・小見出しごとの仮説にもとづいて、それが確認できる資料の収集です。
実際の作業では、大見出し・中見出し、さらには小見出しまでのアウトライン表(書き込みできる大きな用紙)を作成。
これに沿って、1つずつ資料を収集していきました。
資料収集は次のように行いました。
・図書館
主に横浜市立図書館のホームページで検索して利用。そこで見つからない資料は神奈川県立図書館で調べました。
それでも見つからない文献は、大学附属図書館(国士舘大、國學院大、東京都立大、横浜国立大など)や、国立国会図書館のデジタル版、「日本の古本屋」などを検索。
海外版の書籍のうち、関東の図書館にないものは、「AbeBooks」で検索して入手。
海外版は手に入れるのがけっこう面倒かなと思っていましたが、やってみるとアマゾンの購入と同じくらいカンタンでした。
・CiNii(サイニー)
私の取り組むテーマの先行研究や、関連するテーマの論文は、主にCiNii(サイニー)で検索しました。
これはテーマに関するキーワードをいくつか入力して、ヒットした論文にアタリをつけながら実際に読んでみるしかないと思います。
ヒットした論文のタイトルと概要を確認して、参考になりそうだと思ったらダウンロード。無料のものが多いので助かります。
ダウンロードできないものは、それを保管している大学附属図書館を訪ねてまとめて確認しました。
最近は大学に所属する学生でなくても、一般の人に書籍の貸し出しを認めている大学附属図書館が増えています。
500〜2,000円程度で図書カードを入手できるところが多いので、助かりました。
※ 大学附属図書館の利用などについては、次が参考になります。
よかったら、ご覧ください。
hyakuman-amane.hatenadiary.com
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②資料の読み込みとスキャン
・資料の読み込み
当時は時間がそれほど取れなかったので、効率的に文献を読み込むことに決めました。
私の取った方法は、「80 : 20の法則」に基づいた読み込み。
ちょっとわかりにくいと思いますので 説明します。
この法則は、「物事の重要な部分(80%)は、全体の20%から成りたっている」というもの。
たとえば、200ページの文献があるとしても、本当に重要なのはせいぜいその20%ほどの40ページくらい。
だとすると、そこだけを集中的に読めばいいという考え方です。
私は修士論文を書くために、ハードカバーの文献を150冊ほど読みましたが、すべてこの方法。
そして私の実感からすると、本当に重要なページは20%どころではなく、5%くらいではないかと思います。
とすると、200ページの文献のうちの10ページくらいになります。
文献の中で、私の仮説にもとづいて活用できる箇所があれば、そこに付箋をペタペタ貼ります。
もし活用できる箇所がなければハズレですので、図書館でさらに次の文献を検索して借ります。
※ この「80 : 20の法則」にもとづく本の読み込み方法については、次が参考になります。よかったら、ご覧ください。
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・必要な資料箇所をスキャン
文献を読み込んで「付箋を貼ったページ」と、「著者名・書籍名・出版年・出版会社の書かれている最後のページ」のみスキャンします。
著者名・書籍名・出版年・出版会社などは、後で引用・参照リストを作成する際に必要となります。
200ページある文献でも、スキャンするのは見開きで 多くて40回。時間にして、1冊につき7〜8分。
これなら、150冊をスキャンしてもせいぜい20時間くらい。
1日中ずっとスキャンしているわけではないので、それほど大変ではありません。
5冊ほどスキャンすると要領がわかります。
それで、私は好きな音楽(主に1970年代のフォークソング中心)を聞きながら、カラオケがわりに歌いながら作業していました・・・(笑)
私が使っているスキャナーはサンワサプライ製のもの。
もう8年ぐらい経ちますが、まだまだ使えそう。価格は当時5万円くらいでした。
このスキャナーはA3サイズまでスキャン可能。
ときどき見開きでB4サイズを超える文献があったりします。でも、これならストレスなしで作業できます。
また、スキャナーで保存すると費用がとても安く上がります。コピーだとけっこうな金額になりますから・・・
なお、スキャンした資料はすべてPDF形式で、iPadに入れました。
これなら論文作成に必要なすべてのPDF資料を 持ち歩くことができます。
・著作権との関係
なお、図書館などで借りた文献を、個人が自分で利用するためだけに 自宅でスキャンするのは著作権法に抵触しません。ご安心ください。
(図書館内など公の場でコピーするときは制限があります。ご注意を・・・)
不安な方は、 著作権法第30条(私的使用のための複製)第1項をご確認ください。
執筆はスマホの音声入力を使って、すっかり手抜き?しました!
途中から仕事が忙しくなってしまいました。
時間があまり取れない中、やむを得ずキーボード入力をやめ、スマホの音声入力を中心に・・・
私は初期のiPhoneから使用していましたので、音声入力は知っていました。
けれども、当時の音声入力は誤変換があまりに多くて、ちょっと使えない感じ。
ところが私が修士論文を書き始めた2016年ごろには、かなり使える音声入力レベルになっていました。
それで、これを中心にしてやってみようと思ったしだい・・・
スマホの音声入力は、10秒間で60文字くらい書けます。400字詰原稿用紙1枚が1分ちょっとで入力できます。
「大見出し・中見出し・小見出しのアウトライン」と、「スキャンした文献資料」の2点がそろえば、PREP法でドンドン音声入力できます。
※ PREP法とは・・・
まず結論を書き、次にその理由を書き、その次に例を書いてわかりやすくし、最後にもう一度重要点で締めくくる 書き順をいいます。
関心のある方は、よかったら次をご覧ください。
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音声入力中に言い間違えたら、その場ですぐに言い直します。会話とまるで同じ。そこで音声入力を止めることはしません。
これをやると、頭の中に浮かんでいる原稿内容を忘れてしまいますので・・・
修正は比較的短時間でできるため、後で直せばいいだけです。
音声入力はあまり身構えずに、とりあえずテープに録音するような感覚で。
3〜4回やってみると、要領がわかってきました。
誤変換が多い単語などもわかってきますので、そこはハッキリゆっくり話すなどの工夫も。
大見出し・中見出し・小見出しにしたがって、スキャンした文献資料をもとに考えた原稿内容を、とにかく音声入力し続けました。
私はこれを、時間の取れる土日にまとめてやりました。
原稿の修正は、通勤電車の中で スマホでやりました!
次に、スマホのメモに音声入力した原稿を、スマホ上で修正します。
最初は誤変換がけっこうありました。これをまず、1か所ずつ正しい表現に修正します。
これはそれほど悩まずにできます。
自分で音声入力した内容ですから、誤変換で明らかに意味が通らない箇所はすぐにわかりますので・・・
大切なのは、仮説に対して、それを裏づける資料をもとに書いた内容が妥当かどうかです。
これにはかなりの時間をかけました。
その結果、仮説を裏づける内容が不足していると思うときは、あらためてさらに資料収集。
ある程度の納得が得られたら、次の大見出し・中見出し・小見出しごとの原稿の修正作業に移りました。
この作業を根気強く2年間継続・・・
1章が完成するごとに、自分にご褒美をあげました。
ご褒美はたわいもないものでしたが、それを目標にけっこうがんばれました。まるで、子供とおんなじ・・・
そして第1章が終わると、章全体をざっと読み直しました。
ここで気になる箇所があれば、その部分の資料収集と音声入力の追加またはやり直し。
それが終われば、次は第2章へ・・・
私はこの作業を、通勤電車の中で行いました。
毎日の通勤は4時間。そのうち電車に乗っている時間が3時間ほど。
土日に自宅で音声入力した原稿を、通勤時間を利用してスマホ上で修正しました。
電車が混んでいてだいたい座れませんが、スマホなら吊り革につかまって、片手で作業できます。
慣れると、まるでゲーム感覚でした・・・
原稿の推敲は自宅のパソコンで、前後の流れを確認しながらとっても真剣に!
スマホで原稿の第1次修正を行って、ある程度読めるレベルになったら、その原稿をスマホから自宅のパソコンに転送しました。
原稿の最終的な推敲はパソコン上で。
スマホはそれなりに原稿を修正できますが、原稿全体を見渡すことができません。
そのため、同じようなことを違う表現で2度書いていたりします。
または、矛盾したことを書いていることに気づいたり。
そのような全体を眺めながらの論文原稿の細部の修正には、パソコンが最適。
この作業は土日に、しかも家族がぐっすり眠っている早朝に・・・
そのため、ものすごく静かな中で集中できました。
家族が起きてくる時間になると、コーヒーを入れて、グッドモーニングみたいな感じでした。
まとめ
私の論文作成の手順をまとめると、次のようになります。
①まず、テーマを決めました
②次に、仮説を考えました
③大見出し・中見出し・小見出しを考えました
④資料を 図書館のホームページなどで検索して収集しました
⑤読み込んで、使える資料に付箋を貼りました
⑥付箋の箇所だけスキャンして、iPadに全部入れました
⑦大見出し・中見出し・小見出しごとに、スキャンした資料をもとに原稿を音声入力しました
⑧通勤電車の中で、スマホで原稿を修正しました
⑨パソコンで何度も推敲して完成させました
ちょうどこの時期に、仕事がけっこう忙しくなってしまいました。
論文作成に十分な時間が取れなくなってしまったので、やむを得ずこのようなやり方に。
けれども これを機に、それ以降もさまざまな文章を書くときは、このような方法を続けています。
時間があってもなくても、結局は同じだったみたい・・・
・卒業論文のリベンジのため、テーマは同じジャンル。仮説を考える時間を十分に取って、 なぜ? なぜ??と しつこく考えてみました!
・資料収集と保存にはA3スキャナーがとにかく大活躍!
・執筆はスマホの音声入力を使って、すっかり手抜き?!
・原稿の修正は、毎日の通勤電車の中で スマホでやりました!
・原稿の推敲は自宅のパソコンでじっくり真剣にやりました!
今回は論文作成について、あまり時間の取れない状況で、それをカバーすべく行った方法を中心にお知らせしました。
仕事を持っていると、なかなかまとまった時間の取れないことを痛感・・・
けれども必要があれば、中高年の頭でもそれなりに活性化するようです。
50代以降に、知的好奇心を満足させたい方への参考になれば幸いです。
ブログをご覧いただき、ありがとうございました。
なお、過去の放送大学についてのブログは次のとおりです。
よかったら、ご覧ください。
◎ < その1 放送大学の魅力 編 >
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◎ < その2 入学動機・説明会・家族の反応 編 >
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◎ < その3 入学試験 編 >
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◎ < その4 研究計画書 編 >
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◎ < その5 提出書類の準備・受験本番 編 >
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◎ < その6 入学後の楽しい?学生生活 編 >
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