hyakuman_amaneのブログ

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【 50代からの中高年の目標はナニ?: <その6> 目標管理を人事評価に絡めるから起きる問題? 編 】

中高年の目標管理って、
今の制度では難しいかも・・・???

 

こんにちは、百萬です。

 

目標管理は一所懸命にやっても、あまり意味がないのでは?

このような声を、社内外の中高年から聞くことが少なからずあります。

 

目標管理は、本当に意味がないのでしょうか?

 

目標を設定して、コツコツと地道に取り組んでいる中高年はけっこう多いもの。

そして、その取り組み姿勢はとても素晴らしいこと。

 

目標管理によって成果を高め、その過程を通じて中高年の能力を活性化できるはず。

けれども、社内研修のときに中高年から本音を聞くと・・・目標管理制度はあまり評判がよくない印象。

 

他の会社の人事担当者にこっそりヒアリングしても・・・

人事部門ががんばっている割に、目標管理は社員にはそれほどいいイメージがないとの声が少なくない感じ。

 

各社がその改善に向けてさまざまに取り組んでいるようですが、なかなか解決できていないような・・・

 

その原因は、いったいどこにあるのでしょうか?

 

会社の人事・教育担当の中高年仲間と、このような点についてよく意見交換します・・・

今回は、目標管理と人事評価との関係について、考えてみたいと思います。

 

目 次

 

目標管理と人事評価はセットで行うと教科書に書いてあるけれど、これを書いている人は現場で実務をやったことがあるの?・・・こんな声がけっこうあるみたい?!

 

目標管理と人事制度・・・
本当に公平性が保てるの?

 

目標管理の教科書には、人事評価が絡めて書いてあるものがほとんど・・・

これって、ほんとうに正しいのでしょうか?

 

「人事評価点 = 目標の設定点 × 年度末の達成度 」

だいたいは、年度はじめに目標設定を行うもの。

 

目標設定のルールには・・・

 

①目標設定の難易度に応じて、目標設定点を変える。

 

難しい目標には高い点数がつけられ、逆に比較的易しい目標にはやや低い点数がつける。

これは当たり前でしょう・・・

 

目標管理と人事評価の教科書をもっとよく読むと・・・

 

・目標は、内容とレベルに応じて必ず数値化する

・年度はじめに設定した目標の難易度と、年度末の達成度とをかけ算して最終評価点を決める

 

各部署の所属長と所属員はこれをもとにして、目標設定と振り返りの面接を実施する・・・

 

そしてその点数基準は、抽象的ながら一応どの会社にもあるはず。

けれども、実はこれがかなり曲者。

人によって、1+ 1が2になったり、3になったり・・・するのがヒトというもの。

 

公平性?・・・言葉はキレイだけれど、とっても危ない感じ。

 

②所属長ごと、部署ごとに点数の甘辛があるため、それらを人事部門などが横断的にみて調整する。

 

目標管理と人事評価の教科書には・・・

 

・目標内容の量・質と難易度を、部門間で十分に甘辛調整して、全体の合意を得る

・最終評価点の多い少ないによって、昇格や賞与などに適正な差をつける

 

理論的には、どの会社もこれがきちんとできれば、かなり精緻で公平な人事評価が行われるはず。

 

けれども、社員からあまり評判のよくない目標管理・・・それはなぜでしょう?

 

社員数がたとえば50人程度であれば・・・

会社の全業務を熟知しているそれなりの経験と立場のある社員が、すべての社員の目標内容をみて調整できるかも。

 

それでも公平性を確保するのはけっこう難しいものでしょう。

 

まして、社員数が1千人、1万人となるともうお手上げに・・・

横断的な甘辛調整というのはきわめてチョー困難。

各部門ごとに、そこそこレベルで調整するのが関の山でしょう。

 

これは他社を訪問した際に、私が必ず確認させてもらっていること・・・

この話になると、人事部門の方はとても歯切れがわるい感じになることに。

 

目標管理と人事評価を絡めると、いつのまにか社員の目標がドンドン下がって、会社がつぶれるかも?!

 

難しい目標を立てたら・・・
簡単な目標のあいつに負けたぁ

 

目標管理と人事評価。

それぞれにちゃんと目的があるのに、うまく機能していない状況・・・

 

このようになる根本原因は、いったい何でしょうか?

 

それは、目標管理と人事評価の目的がそもそも違うのに・・・

それをムリやりつなぎ合わせようとすることから起こる問題でしょう。

 

①目標管理は、社員の業務成果と能力のアップのために用いるツール。

重要なのは、過去の自分と、いまの自分が 対象

 

②人事評価は、社員の業務成果と能力の状態を適正にとらえることであり、取り組みのプロセスと結果を測定するツール。

重要なのは、今のポジションで会社が求める内容・レベルと、いまの自分が 対象。

 

社員は目標管理だけを行うのなら、今の実力よりもやや高い目標にチャレンジするモチベーションが持てるもの。

 

けれども、人事評価が絡むと、なるべく達成しやすい目標にするのが大半のヒト。

そうなると、目標内容とレベルが低めになるのは当たり前かも。

 

これは目標管理の目的からすると、本末転倒に・・・

 

けれども現実は、多くの会社で・・・

このようなやり方を続けているため、社員は「目標管理 = 人事評価」と理解することに。

 

このやり方では、社員の成果と能力を高められないのは明らか・・・

ニセモノの目標管理でしょう。

 

このような仕組みを続ければ、目標管理も人事評価も形骸化する危険が・・・

 

そして、社員数が多いほど誰も全体像が見えなくなって・・・

会社を発展させるチャレンジ的な目標はますます少なくなるかも。

 

その結果、「目標管理」にがんばった会社ほど 危ない状況になるかもしれません。

これは、きわめてユユシキ大問題・・・

 

人事評価はそれぞれに成長した社員の能力と成果を、共通のモノサシで測るべきものでは?・・・なんで目標管理と絡める必要があるの?!

 

目標管理は、自分の成果と能力を少しずつ、
でも着実に伸ばすべきもの・・・??

 

会社の中高年仲間との意見交換は まだまだ続きます・・・

 

目標設定そのものは、社員が少しだけ背伸びすれば手が届く範囲にするのがいい・・・

これは教科書に書いてあるとおりでしょう。

 

けれども、「少しだけ背伸びする」感覚は、社員それぞれ、まちまちなはず。

なのに、評価上の公平性がちゃんと確保できるのでしょうか?

 

次の3つのケースをみてみると・・・

 

①実力の120%の目標を設定して、その結果105%達成できた。

すると、120点 × 105% = 126点

 

②実力の110%の目標を設定して、その結果110%達成できた。

こちらは、110点 × 110% = 121点

 

③実力の80%の目標を設定して、その結果120%達成できた。

これは、80点 × 120% = 96点

 

これだけをみると、同じ実力レベルの3人が、年間取り組んだ結果は・・・

①が1番、②が2番となり、③は3番のはず。これは誰がみてもそうでしょう。

 

けれども③の目標設定が、甘辛調整の不備から もし110%の目標とみなされると・・・

110点×120%= 132点になってしまいます。

 

なんと・・・もっとも易しいレベルの目標設定が、人事評価上はトップになることもありうることに ?!

 

これは極端な例かも・・・

けれども、最近の各社の業務内容はけっこう 複雑怪奇なものが増えていて・・・

目標設定のレベル合わせがとってもしにくいもの。

 

甘辛調整・・・

言うは易し、行うのは絶対的な難しさが伴います。

 

人事評価は昇給・昇格や賞与の査定に使われ・・・

会社への貢献度を社員ごとに序列づけるもの。

 

その前提条件に根本的な問題点があれば、大変なことに・・・

「この算式で計算される貢献度」にもとづいて、会社は社員ごとに賃金格差をつけるわけですから。

 

目標管理と人事評価。

この似て非なるものを一緒くたにしてきた目標管理を見直して・・・

目標管理の本来の目的が発揮できるように、見直すのがいいのではないでしょうか?

 

私の会社も大いに反省して、現在労使で見直し作業中・・・

完璧な制度は困難なことを承知の上で、少しでもベターなものに・・・が合い言葉。

 

まとめ

 

ホンモノの目標管理をやったら、
中高年はもっと救われるかも・・・

 

目標管理と人事制度。

目標管理制度は1960年代にアメリカから日本に輸入されて・・・

日本独自に両者をミックスした制度ができあがって 半世紀近く。

 

その当時、高度経済成長にかげりが見えはじめた日本・・・

大手企業を中心に、みなこの制度に飛びつきました。

 

目標管理や人事制度に完璧は難しいもの。

けれども、それからかなり時間が経過して 問題点がわかってきました。

 

そうであれば、是正する努力をもっとする時期かも・・・

さまざまな会社がこの制度の見直しをそれなりに進めてきて、少しずつ改善してきています。

 

けれども、そろそろ根本的な見直しをしないといけない時期に来ているのではないでしょうか。

 

P.F.ドラッカーさんが多くの著書で述べているように・・・

 

・目標管理は、社員自らが高い目標を持って、自分をコントロールすることで成果を高め、またその過程を通じて能力を高める。

・それが全社員に及ぶことによって、会社の力が着実に増す・・・

 

という基本精神に、立ち返る必要があるのではないでしょうか?

 

今回は、目標管理と人事制度の関係について考えてみました。

 

・目標管理と人事評価はセットで行うと教科書に書いてあるけれど、これを書いている人は実際に現場でやったことがあるの?・・・こんな声がけっこうあるみたい?!

・目標管理と人事評価を絡めると、いつのまにか社員の目標がドンドン下がって、会社がつぶれるかも?!

・人事評価はそれぞれに成長した社員の能力と成果を、共通のモノサシで測るべきものでは?・・・なんで目標管理と絡める必要があるの?!

 

ブログをご覧いただき、ありがとうございました。

 

 

なお、「50代からの中高年の目標はナニ?」シリーズの直近のものは、次のとおりです。

よかったら、ご覧ください。

 

<その5>・・・「できばえをよくするQCDってなに?」編

hyakuman-amane.hatenadiary.com

 

<その4>・・・「PDCAにはホンモノとニセモノがあるの?」編

hyakuman-amane.hatenadiary.com

 

<その3>・・・「目標設定って何をどうやるの?」編

hyakuman-amane.hatenadiary.com