こんにちは、百萬です。
中高年のみなさんは・・・自分の頭がけっこうかたくなってきたなあ と感じることはないでしょうか?
家でも会社でも、何を聞いても それほど心が動かなくなってくると、ちょっとマズいかも。
それはもしかして、ムカンドー症候群の兆候かもしれません・・・
そういうときは、感じる世界に没入できる「絵本ワールド」は いかがでしょうか?
かたくなりつつある中高年の頭を、少しでも柔らかくしたい。
今回のテーマは「お母さんの愛情はとっても深い!」です。
よかったらご一緒にどうぞ・・・
目 次
- リリアさんの『あおいアヒル』(2018年)は、認知症がどんどん進む お母さんを・・・やさしくつつみこむ子の愛に泣けるかも?!
- さとう わきこさんの『せんたく かあちゃん』(1978年)は、恐ろしい顔をした雷さまも恐れる肝っ玉母さんの・・・深〜い愛情が感じられるかも?!
- 佐野洋子さんの『うまれてきた子ども』(1990年)は、素直なこころを持つ人を うらやましく思う気持ちが、とってもよくわかるような?!・・・やっぱり、お母さんって とってもスゴイ!
- まとめ
リリアさんの『あおいアヒル』(2018年)は、認知症がどんどん進む お母さんを・・・やさしくつつみこむ子の愛に泣けるかも?!
まわりのことが、少しずつわからなくなってくるお母さん・・・
そうなったら、子はどうしたらいいのでしょうか?
ママ覚えてるかな・・・この青い池?
初めて出会ったのは秋だったねえ。
あったかい風と冷たい風が、代わりばんこに吹いていた日だ。
青いクチバシのアヒルは、近くで小さな鳴き声に気づきます。
なんと、ワニの赤ちゃん。抱っこすると、たちまちスヤスヤ。
あたりを見渡しても、お母さんワニは見当たりません。いくら待っても現れません。
大丈夫かしら。でも、わたしは行かなくちゃいけないの・・・
そのとき、赤ちゃんワニが目を覚まし、大きな声で・・・うわーん!
赤ちゃんワニは、アヒルの足にしがみついて離れません。
ママぁ〜!
赤ちゃんワニは、青いアヒルの行くところにはどこにでもついて行きます。
やがて上手に、ママと言えるように・・・
青いアヒルは、いつも赤ちゃんワニを大事に守りました。
だめ、あなたはまだ赤ちゃんなの・・・お風呂は毎日入るのよ。読み方も教えました。
ママ見て、ボク浮かんでるよ。
初めて出会った青い池・・・2人はそこにプカプカ浮いて、そしてその後いつも一緒にお昼寝タイム。私、世界で一番幸せなママね・・・
やがて、赤ちゃんワニは1人で遊べるようになりました。
ママにお花を摘んできたり、歌を歌ってくれるようになりました。
そうしてワニは みるみるうちに大きく育って、歩くたびにドスンドスンと地響きがするほどに。ワニがこんなに立派になって、青いアヒルはとっても安心。
けれど、いつからだったでしょう・・・青いアヒルは、いろいろなことを忘れるようになりました。
こっちに来ないで!
こう言って、青いアヒルはワニのことを忘れて、どこかへ行ってしまうようになりました。
でもワニはにっこり・・・ボクはママを見つけるよ。
だって世界で一番好きだからね。ママのいるところはすぐにわかるんだ。
青いアヒルは、いつも同じことを聞くようになりました・・・
どうして私をお風呂に入れるの?
・・・だって、ママはいつも僕をお風呂に入れてくれたもの。
どうしてご飯を食べなくちゃいけないの?
・・・今日のご飯、とってもおいしいでしょう。
どうして寝なきゃいけないの?
・・・明日も一緒に楽しく遊ばなくっちゃね。
ある日、青いアヒルはずっと泣いていました。もう自分の足で歩けないのです。
けれども、ワニはママがどこへ行きたいのか、ちゃんと知っていました。
池の上を吹く風・・・葉っぱのさざめき・・・青いアヒルはその匂いを全部覚えているのです。
ママ覚えてる・・・この青い池?
初めて出会った時のこと・・・
ママ、眠ったの?
ママはときどき怒ったり、迷子になったり、ボクを忘れたりするけど・・・
ずっと変わらないのは、ママがボクを大好きなこと。そして、ボクもママが大好きなことさ。前はボクがママの赤ちゃんだったけど、今度はボクが守るからね・・・
ご飯ちょうだい、お腹すいた・・今日もお母さんが嬉しそうに言っています。
お母さんアヒルと、子どものワニの親子。
普通の親子よりも、とっても、とっても仲良し。
誰でも、例外なく 順番に年老いていくもの・・・そして、少しずつ忘れやすくなっていくもの。
難しい問題はいろいろあるけれど、親子にはやっぱり「愛」が一番大切なようです・・・
さとう わきこさんの『せんたく かあちゃん』(1978年)は、恐ろしい顔をした雷さまも恐れる肝っ玉母さんの・・・深〜い愛情が感じられるかも?!
とっても恐い鬼たちが、1人の肝っ玉母さんに叱られてシュンとしている・・・そんな姿を想像できますか?
洗濯の大好きな母ちゃんがいました・・・
今日もいい天気で、母ちゃんは腕まくり。ぱっとカーテンを外すと、太い腕でたちまちゴシゴシ。
家中のズボンもチョッキも、靴下もパンツも、シーツも枕カバーも、あっという間にタライに放り込みます。
家中のものをみんな洗ってしまった母ちゃんは、子どもたちに言いました。
何か洗うものを探しといで!
子どもたちがそこら中を見渡すと、猫が見つかりました。
殺気を感じた猫は、いつもなめてるからとってもキレイと言って一目散。
危険を感じたのは猫だけではありません。近くにいた犬も、鶏もみんな逃げ出しました。
この騒ぎを聞いた・・・下駄箱のゲタや靴や傘もみんな逃げ出す始末。
それを見て、母ちゃんは大声で叫びました・・・止まれ!
みんなは魔法にかかったように、体中がしびれて動けなくなってしまいました。
母ちゃんはみんなをタライに放り込んで、ゴシゴシとあっという間に洗ってしまいました。
洗濯が終わると、母ちゃんは洗濯物を干し始めます。
庭の木から木へと丈夫なヒモをくくりつけ、猫も犬も鶏も、靴もゲタも、子どもたちも、み〜んなまとめて干して 洗濯バサミで止めました。
母ちゃんはとってもご機嫌。
洗濯物を干した後は、ラムネを飲んだみたいにスッキリ!
ちょうどその頃、空に雷さまの雲が動き始めます。
すげえすげえ・・・ヘソがいっぱい干してあるぞ。雷さまはよだれを飲み込みながら、全速力で雲を運転して、洗濯物に近づきます。
空が急に暗くなり、母ちゃんがあわてて洗濯物を取り込んでいると・・・
いきなりピカピカ、バリバリと雷さまが落ちてきました。
雷さまが、物干しの中に引っかかってもがいるのを見て・・・
あんたは何しにきたんだね?
すると、雷さまは・・・
当たり前のこんこんちき。お前たちのヘソを取りに来たに決まってるじゃないかあ!
母ちゃんはそれを聞いてカンカンになって・・・
雷さまの首をグッとつかんで、タライの中に放り込んでゴシゴシ。
洗い終わった雷さまを見て、母ちゃんはビックリ。
雷さまはしわくちゃで、おまけに目も鼻も口もなくなっていました。
案外だらしないんだね・・・母ちゃんは雷さまを洗濯バサミで止めて、ピンピン叩いてシワを伸ばしました。
雷さまがすっかり乾くと・・・これじゃ、前か後かわからない。困ったねえ。
母ちゃんはしばらく眺めてから、子どもたちに命令!
雷さまの顔を描いてあげなさい。子どもたちはクレヨンで色を塗りはじめました。
しばらくして、雷さまは鏡を覗いてとってもビックリ。
なんだかいい男になっちまったぜ、と鏡であちこち見ています。
気に入らなきゃ、もう1回洗ってあげるよと母ちゃんが言うと・・・
雷さまはもういいよと、慌てて空へ逃げ帰りました。
次の朝、母ちゃんが元気よく洗濯していると・・・
突然 黒い雲がいっぱい出てきて・・・ピカ、ガラガラ、ドシーン、ドンガラ、ドッシーン。
母ちゃんが驚いて周りを見渡すと、そこら中が雷さまだらけ。みんな薄汚れた雷さまばかり。
みんなが言いました・・・洗濯してくれ〜、洗ってくれ〜。
顔を書き直してくれ〜、いい男にしてくれ。
昨日の雷みたいに、やってくれえ・・・
そこで、母ちゃんは張り切って一言。がってん、まかせときぃ!!
肝っ玉母さんでしょうか。
体がガッチリして、1日中何でもゴシゴシ、ピッカピカに・・・
やさしそうなのに、ちょっぴりこわい・・・昭和初期から中期まで、どこにもけっこういたような雰囲気に 思わず脱帽かも。
佐野洋子さんの『うまれてきた子ども』(1990年)は、素直なこころを持つ人を うらやましく思う気持ちが、とってもよくわかるような?!・・・やっぱり、お母さんって とってもスゴイ!
素直なこころを持てるといいなあ・・・と思いつつ、なかなか素直になれない人って、案外多いのではないでしょうか?
生まれたくなかったから・・・生まれなかった子どもがいました。
この世に生まれなかった子どもは、毎日その辺をうろうろ。
宇宙の真ん中で、星の間を歩きまわり、星にぶつかったって痛くない。
太陽のそばにいったって暑くない。
何しろ生まれなかったんだから・・・そんなの関係ない。
ある日、生まれなかった子どもは、地球にやってきました。そして、どんどん歩いていった。
野を越え山を歩いて行った。ライオンが出てきてウォーと吠えても、こわくなんかない。
蚊が飛んできて刺しても、かゆくない。
だって、生まれてないから・・・そんなの関係ない。
トマトの畑を通って、魚のいる川を渡って、どんどん歩いた。
犬が1匹いて、生まれなかった子どもをぺろぺりなめたけど、全然くすぐったくなんかない。
町に着いたら、パン屋さんからパンの匂いがしてきたけど・・・生まれてないから食べたくもない。
生まれなかった子どもが、街の広場に座っていると、広場に犬を連れた女の子がやってきた。
こんにちはと、生まれなかった子に挨拶をしたけれど・・・関係ないから、生まれなかった子どもは、こんにちはなんか言わない。
生まれなかった子どものそばにいた別の犬が、なんと女の子のお尻と足にかみつきました。
それを見て女の子の犬は、生まれなかった子どもの腕や足にかみついた。
生まれてないから ぜんぜん痛くないよ・・・
女の子のお母さんがあわてて飛び出してきて・・・女の子を追いかけてきた犬を棒でゴツンと叩きました。
女の子のお母さんは、女の子の傷口をきれいに洗って、薬をつけて、お尻に絆創膏を貼りました。
それを見て、生まれなかった子どもは・・・絆創膏をペタリと貼りたくなり、絆創膏、絆創膏と叫びました。
しばらくして、生まれなかった子どもは・・・ついに生まれました。
その生まれた子どもは足と腕が痛くて、お母さん痛いよ〜と言うと、
お母さんが、大丈夫よ、大丈夫よと言いながら、走ってきた子どもをしっかり抱きます。
きれいに洗って、薬をつけて、腕にペったりと絆創膏を貼りつけます。
バンザーイ!
生まれてきた子どもは、お母さんに抱きつきます。
お母さんって、とっても柔らかくていい匂い・・・
それからパンの匂いをかぎます。ボクお腹すいたと言って、パンをむしゃむしゃ食べます。
生まれてきた子どもは、広場で向こうから来る女の子に手をあげて叫びます・・・
ボクの絆創膏の方が大きいぞ!
夜になると、生まれてきた子どもは、ネマキを着てお母さんに言います。
もう僕寝るよ、くたびれるんだ。お母さんは笑います・・・
そして生まれてきた子どもをしっかり抱いて、おやすみなさいのキスをします。
生まれてきた子どもは、夢も見ないでグッスリ眠りました・・・
素直なこころっていいなあ。
でも、わかってはいても、素直になれないっていう悩みもあるんだ・・・
でも、でも、自分の気持ちに少しだけ忠実になる勇気を持つと、けっこういいことがあるんだなあ・・・
お母さんの愛って、スゴイなあ!
頭が少しかたくなっている中高年も、ちょっとだけ素直になると、いいことがあるかもしれませんよ・・・
まとめ
中高年の頭が・・・ドンドンかたくなっていく原因は何でしょうか?
小さいころは見るもの聞くものがすべて新しく、とっても目がキラキラしています。
けれども、人はそれなりの経験を積むと、世の中の物事がだいたいわかってくるもの。そして、頭がかたくなっていくような。
そういうときは、子どものとき 楽しかった 絵本ワールドに行ってみるのはいかがでしょうか・・・
「考える」世界から、「感じる」世界に入ると、頭が宙に浮いているような感覚を味わえるかも。
すると、ちょっと頭が柔らかく感じられるかも・・・
・リリアさんの『あおいアヒル』(2018年)は、認知症の進むお母さんを・・・やさしくつつみこむ子の愛に泣けるかも?!
・さとう わきこさんの『せんたく かあちゃん』(1978年)は、恐ろしい顔をした雷さまも恐れる肝っ玉母さんの・・・深〜い愛情が感じられるかも?!
・佐野洋子さんの『うまれてきた子ども』(1990年)は、素直なこころを持つ人をうらやましく思う気持ちが、とってもよくわかるかも?!・・・お母さんはとってもスゴイ!
ご覧いただき、ありがとうございました。
なお、「中高年の激しい思いこみを20% ゆるくするステキな絵本・・・今週の3選!」シリーズの直近のものは、次のとおりです。
よかったら、ご覧ください。
<その25>・・・「思いやりって・・・あったかいなあ!」編
hyakuman-amane.hatenadiary.com
<その24>・・・「ちょっと想定外かも?」編
hyakuman-amane.hatenadiary.com
<その23>・・・「とっても恐い想い・・・」編
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