体力・知力・気力それぞれの
コントロールをどうすれば?
こんばんは、百萬です。
40代までは、自分の好きな分野や 仕事に必要なことを、けっこう意欲的に学習できるもの。
体力、知力、気力ともに それなりに充実していることが ちゃんと背景にあるでしょう・・・
けれども、50代からの中高年は どう自分を高めていったらいいのでしょう?
会社の教育メンバーと意見交換すると、さまざまな意見が飛び出します。
どんな学習をするにしても、そのベースになるのは、いつの時代も「読む、書く、話す、聞く」では?
そんなことから、今も読み続けられている、かつての著名な本を改めて読み直してみようということに。
もしかして、50代からの中高年向けのヒントがたくさんあるかも・・・
今回は、「知的生産」という言葉を考案された 梅棹忠夫さんの著作を2冊読み直してみました。
その中で、自己啓発に関する内容を拾ってみることに・・・
その気づきが参考になるかもと思い、お知らせします。
目 次
- プロフィール
- 重要だと思う本はすべて読む。興味深い箇所があれば自分の「着想」をメモして、自分の考えを膨らませる!
- 文章の書き方は、着想メモをKJ法によってまとめ、論理の流れの中で書いていく!
- 大ベストセラーになった『知的生産の技術』という本を書いたのは、何をするにもベースとなる「読む、まとめる、書く」を教える本が当時まったくなかったから!
- まとめ
プロフィール
梅棹 忠夫さんは1920年のお生まれ、京都大学名誉教授で理学博士。
退官後、国立民族学博物館の初代館長に・・・
関心のある領域はとにかく幅広く、世界レベルの生態学、民族学、情報学など多岐にわたっています。
生涯での著作は270冊余、論文数は1100余(CiNiiでの確認数:大中小あり)など、ずっと現役で精力的に活動された方です。
重要だと思う本はすべて読む。興味深い箇所があれば自分の「着想」をメモして、自分の考えを膨らませる!
ずっと読み続けられているこの本
(横浜市立図書館の蔵書より引用)
読書法は たくさんの本がありそうで実はあまりない、というのが梅棹忠夫さんの当時の言葉。
①重要な本は1冊すべてを読まないと、著者の考えを理解したことにならない
私は本をすべて読んだ場合を「よんだ」といい、拾い読みなどは「みた」と区別している。みただけの本については、書評を差し控える。
重要な本は読み切る・・・そうでないと、著者の考え方をすべて理解することはできないというところでしょうか。
ものすごい量の文献を読みきる読書法のはずですが、その方法はなかなか明かしてくれないみたい・・・
②本は併読する
かたい本は疲れる。だから、私はかたい本とやわらかい本を併読することが多い。
そうすると、能率がいい。
確かに、併読の効率性を主張する大先輩は他にも多いようです・・・
③重要だと思う本は、日を空けて2回読む
日を空けて読み直すと、やや興奮した1回目よりも冷静に内容を吟味できる。
これも、重要な本に限定して実践されていたようです。
④読書メモは、本文の書き写しをしない
読書メモには、大事だと思っても 本文そのものを書かない。それをするなら、本をもう一度読む方がいい。
それよりも「おもしろい」と思ったことを題材にして、構想してメモするのがいい。
あくまでも、さまざまな本から自分自身で着想した内容を 重視されていたことがわかります。
文章の書き方は、着想メモをKJ法によってまとめ、論理の流れの中で書いていく!
書き、それらを論理的につなげて
本や論文をまとめる方法・・・
①みな 文章の書き方をもっと学んだ方がいい
学生に限らず、大学の先生にもひどい文章を書く人は少なくない。そのような訓練を受けていないことが、見ればすぐにわかる。
それは論文などでの記号の付け方、引用の仕方、図表の差し込み方などさまざまな点について言える。
日本では、いまも60年前も読解力中心の教育であり、文章の書き方を学校が教えていないことを指摘されています。
そのため、「私が学生にいちいち教えた」と書かれています。
②文章を書く作業は、「A :考えをまとめる段階」と、「B :それを実際に文章に書きあらわす段階」がある
文章が書けないときは、「A の段階」が頭の中でまとまっていないことが多い。
着想したメモから何が言えるか、何と何がつながるかなどを十分に考える必要性を何度も書かれています。
③あるテーマに関するさまざまなおもしろい題材を、1枚のカードに1項目ずつ書いていく
思いついたことから、順不同に完全な文章のかたちでカードに書いていく。
着想のカード記入で挫折する人に多いのは、「本の書き抜きをする人」、「テーマを絞らずに情報収集を広げすぎる人」である。
単なる「本の書き抜き」は知的作業ではないということでしょうか・・・
④最後にぞれぞれのカードを、関連のあるものどうしでまとめていく
カードを分類するのではない。論理的なつながりがあるものどうしをまとめていく。
まとまれば、それぞれをホチキスで留める。これが、1片の「こざね」。
「こざね」法は、書き留めた小さな情報の断片をまとまった文章にする方法。
中世のヨロイは、小さな鉄片や革の小さな板(「こざね」という)を糸でつづり合わせて作った。
文章もまさに断片のつなぎ合わせだから、この名称にした。
「こざね」法を発展させ、体系化したのが学友の川喜田二郎 氏である。彼のイニシャルをとってKJ法と名づけた。
数多くの着想メモを記入したカードをつなぎ合わせて、1つの主張を展開する思考そのものが「知的生産」ということでしょう。
⑤テーマに沿って、カードを論理的に説明できるように並べる
それぞれの「こざね」をどのように並べれば、読み手にわかりやすく説明できるか考える。
その結果として1つの文章になり、最終的には1冊の本になる。
⑥文章を書くこの「こざね」法は、コンピュータの出現によってさらに効率よくなった
その基本はまったく変わっていないが、コンピュータを使うと能率がよくなる。
カード量が多いほど、効率よくなる。
⑦論文や本など、人に読んでもらう文章は簡潔に書く
論文などは、「文章を俳句のつもりで書け」と教官からきびしく言われた。
これは読み手に読んでもらうことを目的としているからである。
つまり、ダラダラ書くと読まれないから、簡潔にわかりやすい文章を書けということである。
これは現代でも「1文を短くする」と読みやすい・・・などという指摘と同様でしょう。
⑧口述筆記によっても、文章を書くことができる
私は66歳のときに病気で両目を失明した。
しかし、それからは口述筆記により 原稿を書く方法を身につけた。
最初は無理だと思ったが、なれてくると意外にうまくいった。
これは今ではスマートフォンの音声入力で簡単にできるようになりました・・・
⑨読み手にわかりやすくするには、文字だけでなく、画像なども取り入れる
私の著作は著しく文字情報に偏っていた。
そのため、画像なども取り入れるようにしていった。
これは現在では当たり前のことですが、当時このようなことを言う人はほとんどいなかったと思います。これも「読んでいただく」ための工夫でしょう・・・
大ベストセラーになった『知的生産の技術』という本を書いたのは、何をするにもベースとなる「読む、まとめる、書く」を教える本が当時まったくなかったから!
広がっていきます・・・
(横浜市立図書館の蔵書より引用)
①知的生産をよくするには、「読む、考える、書く」の力を高めることが重要
どんな勉強でも研究でも、それを具体的な作業にまで分解すると、結局は「読む、考える、書く」などをいかに上手に行うかに帰着する。
これは誰でもうなづけること・・・
②「知的生産の技術」の名づけ親は湯川博士
「読む、考える、書く」のうまいやり方は、一種の技術ではないかと当時、湯川秀樹博士に言われた。
それで、この本の名称を「知的生産の技術」とした。
③研究者ですら「読む、書く」が不得意
若い研究者を指導するようになってわかった。
彼らは学問の方法論は大いに議論できるが、本の読み方、原稿の書き方を知らないことが多い。
これは日本の教育での大きな問題点になっていると思います・・・先述のとおり。
④勉強の仕方を教える先生はいない
先生は学問の内容は教えるが、勉強の仕方については秘密主義ともいうべきものだった。
これではいけない。
今はどうでしょうか?・・・ちょっとあやしいかも。
⑤知的生産とは新しいものを生み出すこと
知的生産とは、新たな価値ある情報の生産。
だから、何かを要約しただけのものは知的生産とは考えない。
他人の書いたものを転記するような本や論文は、新たな生産にはならないということでしょう。
新たな価値とは、書いた人の新しい着想が加わったもの・・・
⑥誰もが「読む、考える、書く」技術を学ぶのが必須の時代になった
情報が氾濫してくると、一般市民も知的生産の技術を知って行動するのがいい。
資料を探す、本を読む、ファイルをつくる。考えて、書く。
このような作業はみな知的生産のための作業であり、前提条件であるからしっかり学ぶべき。
まとめ
今回は「知的生産」という言葉を考案した 梅棹忠夫さんのベストセラーになった本を再確認してみました。
書かれている内容が、社内教育資料のあちらこちらに盛り込まれていることがわかりました。また、新たに加えたい内容が増えそう・・・
当時からは、かなりの時間が経っています。
そのため、書かれている内容や表現が一部古い部分もあります。
けれども、そこに書かれている「読む、考える、書く」などの知的作業の基本は、いまでも有用みたい・・
これまでに多くの先人たちが考えたノウハウ・・・これらは今でもたくさんの人が「知的生産」の場で随所に引き継いでいます。
一方で、せっかくのいいやり方でも、時間の経つうちに忘れ去られたものもありそう・・・
中高年の自己啓発。
体力、知力、気力ともに、50代をピークに一般的には低下していくもの。
そうなると、中高年は学習にひとひねり工夫が必要かも・・・
そのような場合は、ゼロから考えるよりも、大先輩たちの知恵を参考にして、いいものをまねてみるのも1つでは?
いいものをまねてみて、これはいいと思ったものにさらに創意工夫を加えて、本当に自分のスキルにする。
大先輩たちの知恵は想像以上に深いかも・・・
・ 重要だと思う本はすべて読む。興味深い箇所があれば自分の「着想」をメモして、自分の考えを膨らませる!
・文章の書き方は、着想メモをKJ法によってまとめ、論理の流れの中で書いていく!
・大ベストセラーになった『知的生産の技術』という本を書いたのは、何をするにもベースとなる「読む、まとめる、書く」を教える本が当時まったくなかったから!
梅棹忠夫さんがお亡くなりになって はや12年。
自己啓発の本だけでなく、他の著作ももう少し読んでみたいもの・・・
ちなみに、梅棹忠夫さんは、大量のおたまじゃくしを水槽で飼っていた経験をお持ちです。
その群団としての生物の動きの法則を数理解析した論文で、理学博士号を取得されているユニークな方。
ブログをご覧いただき、ありがとうございました。
なお、関連ブログは次のとおりです。
よかったら、ご覧ください。
<その1> 竹内均さん 編
hyakuman-amane.hatenadiary.com